コラム

自動車の電子的な検査(OBD検査)について

自動車の電子的な検査(OBD検査)について

1.概要

近年、自動車の自動運転技術は急速に進化・普及しています。
その反面、故障などの不具合が発生した際には、誤作動による重大事故につながるおそれがあります。

従来の自動車検査(車検)は、外観や測定器を使用した機能確認により行われてきましたが、
自動運転技術に用いられる電子装置の機能確認には対応していませんでした。
そこで、衝突被害軽減ブレーキ等の自動運転技術等に用いられる電子制御装置の目に見えない故障に対応するため、
令和6年10月(※1)より、OBD(※2)を用いた自動車の電子的な検査を開始することとなりました。

※1:令和3年10月1日から既存のすべての自動車について、1年ごとのOBD点検の実施が義務化されました。
    令和6年9月30日までは車検時のOBD診断はプレテスト期間となっています。
※2:OBDとは・・・On-Board Diagnosticsの略。車載式故障診断装置。電子装置の状態を監視し、故障等の不具合を記録します。
                  参考 国土交通省 自動車の電子的な検査(OBD検査)について

2.OBD検査の流れ

OBD検査の基本的な流れとしては、以下の通りとなります。画面上部の図と合わせてご参照ください。

事前準備:検査に使用する法定スキャンツールに最新の特定DTC(※3)照会アプリをインストールします。
①インストールしたアプリを起動後、自動車技術総合機構のサーバーと接続し、アプリが最新かどうかチェックします。
②車検証QRコードまたは電子車検証の読取等により、検査車両の情報をツールへ入力します。
③ツールから機構サーバーへ検査車両情報を送信し、サーバー上のECU(※4)情報リストから検査車両情報を検索します。
④機構サーバーよりECU情報を回答します。
⑤ツールより、検査車両へのDTC照会の命令を発信します。
⑥照会したDTCをツールへ読み出します。
⑦ツールから機構サーバーへDTCを送信します。
⑧機構サーバー上の特定DTCリストと照会し、判定結果をツールへ送信します。
⑨判定結果をツールにて表示します。

なおOBD検査は、VCI(※5)をセットしたパソコンやタブレット、スマートフォンでも実施可能です。
ただし、法定スキャンツールとして使用するには技術基準に適合した型式のVCIでなければなりません。

※3:DTCとは・・・Diagnostic Trouble Codeの略。故障コードの意。
※4:ECUとは・・・Electronic Control Unitの略。エンジンやトランスミッション等を制御する、車両に搭載された電子制御装置。
※5:VCIとは・・・Vehicle Communication Interfaceの略。車両通信インターフェース。
         パソコンやタブレット、スマートフォンをUSBやBluetooth通信などを通して検査車両へ接続することが可能となります。

                  参考 国土交通省 車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方検討会

3.スマート継続OSSシステムでの対応

スマート継続OSSシステムにおいては、指定整備記録簿および定期点検整備記録簿に「車載式故障診断装置点検」の項目がございます。
別表3、5、6の点検整備タブにて、OBD検査の結果ならびに、交換部品の情報を反映させることができます。

記録簿のご利用にあたっては、コラム記録簿作成機能実装について をご確認ください。

※なお、本検査制度の本格開始にあたりスマート継続OSSシステムの改修が発生した場合には、別途お知らせいたします。

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